極北カナダとオーロラ

Canadian North and Aurora Borealis

極北カナダとオーロラ [No028/2005.09.14]

9月7日、太陽で大規模なフレアが発生した。　記録的なフレアであり、いままで観測史上4番目に大きな数値X17であった。　http://www.spaceweather.com/solarflares/topflares.html

温帯雨林であるBC州北西部では当然のことながら雨が多い。　9月にはいると落葉樹は黄色に色づき始め、空もどんよりしがちである。　オーロラは一番低い部分でも80kmにあり、1,000kmほどの宇宙まで筋になって伸びることもある。　したがって雲がかかってしまうと隙間から見ることはできても、オーロラ自体の光が雲の下に出現することは無いのである。

通常太陽からの太陽風は地球まで3日ほどの時間をかけてやってくるのだが、高エネルギーの大規模フレアなどだと1日から1日半で到着することがある。　9 月9日の夜は良いオーロラが低緯度まで出る可能性があったのだが、朝から空は曇っており期待できそうに無かった。　が、午後から晴れだして天気予報も良い傾向にあった。　早速準備を始めちょっとした仕事を片付け夕食後に思い切って2泊の予定で撮影地に向かった。

いままで何度もトライして失敗を繰り返していた、サーモン氷河でのオーロラ撮影である。　ニュー・アイアンチから車で距離にして200kmの Stewartの町から、隣町のHyder（アラスカ領である）を超えて、山道を登ると再びBC州に入り頂上の峠からこの氷河を眺めることができる。　月も無い真っ暗闇を走り続けていたので、途中クロクマにぎりぎりで接触しそうにもなり、4時間もかかってしまったのだが午後11時には峠にたどり着いた。　その頃には既にオーロラが出始めておりついついアクセルペダルに力が入ってしまう。

とにかく大きな氷河で、峠道に平行して端から端まで見ることができる。　車でこんなに簡単に行くことのできる氷河は、アルバータ州アイスフィールド・パークウェイのアサバスカ氷河が有名であるが、サーモン氷河は規模が全く異なり、しかも峠の上から見下ろして眺めることができるのである。

カナダで5番目に大きなサーモン氷河上のオーロラ、9月10日午前0時

サーモン氷河と言われるだけあり、そこから流れ出すサーモン・リバーには多数の鮭が上る。　それを目当てに支流であるフィッシュ・クリークには多くのグリズリー・ベアーとクロクマがやってくる。　峠道とフィッシュ・クリークの交差点にクマ観賞用の観賞デッキが設けられており、夏の期間はアラスカ州のレンジャーが毎日見回っている（その部分はアラスカ領である）。　

野生のグリズリーがこんなに近くで観察できる

何度も通っている場所であるが、今回は特別に多くのクマが現れた。　2頭の子連れのクロクマの母熊。　オス、メスでやってきて相撲をとってじゃれるグリズリー、その他多数のクマが入れ替わり一日中鮭を獲りに来る。

じゃれあうグリズリー

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大きな足である

母熊について歩くクロクマの兄弟

P107-9834

チャム・サーモンを頬張るグリズリー

P107-9948

2頭の子供に与えるため、母熊はなんども鮭を獲りにくる

9月10日の夜はどんよりと曇っておりオーロラの期待ができなかったのであるが、天候の変化を期待して峠の道端に車を止め、いつでも撮影できるようにして車内で仮眠する。　外気温は8度といつもより暖かい。　目覚まし時計を1時間ごとにセットして何度も確認する。　朝5時、なんと空は晴れ渡りオーロラが乱舞しているではないか。　それから明るくなり始めるまでの1時間氷河とオーロラの信じられないような光景を堪能した。

ピンクと緑のパルス状オーロラが点滅を続ける、9月11日朝5時

翌日家に戻るとその夜も3夜続けてオーロラが現れた。　それだけ巨大黒点 798からのフレアーが凄かったと言うことであろう。

点滅を続ける光、9月12日午前2時、裏庭にて

この日アメリカの南、アリゾナやテキサスでもオーロラが観測された。　またこの黒点798が大規模フレアを24時間以内に放出するらしいと言うことである。　数日後が楽しみである。

このクマ観賞場所とサーモン氷河はいまだ日本では知名度が低い。　今回10数名の日本人観光客がクマを見に来ており驚いた。　私自身が案内した以外では始めてであった。　この「氷河とクマ」ツアーに興味がある方は直接メールにてお知らせいただきたい。　メール連絡先　タカサカまで

2005年9月14日ニュー・アイアンチより

NEW 個展のお知らせ NEW

2005年11月4日から 27日まで、BC州北部の街 "Terrace" の「Terrace Art Gallery」にて、個展を催行します。　

タイトルは "Beauty of the Nass Valley" ナス河を中心としたナス・バレー付近の風景と、そこに住むニスカ先住民の催し物、野生動物などを40数点展示します。

開催レセプションは11月4日午後7時より行いますので是非お立ち寄りください。

Terrace Art Association
P. O. Box 82
Terrace Libruary, B1
4610 Park Avenue
Terrace, BC
V8G 4A4

オーロラ写真常設ギャラリーのお知らせ

カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州最大の都市、バンクーバーにて、作者のオーロラ写真の展覧を行っています。　気軽に入れる、お洒落な居酒屋風レストランですので、当地にお越しの際には是非お立ち寄りください。

詳細は、こちらから。
Yuji's Japanese Tapas

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